「あなたのキャリアプランを教えてください」
という質問に、すぐに答えられる人はどれほどいるでしょうか。
少なくとも私は、キャリアプランという大それたプランを考えてもいませんでした。
なぜなら、キャリアアップを目指していなかったし、転職・就職活動をしているわけでもなかったからです。
- キャリアアップを目指していない
- 転職・就職活動をしていない
このような人たちは、キャリアプランを考える必要がないのでしょうか。
それはちがいます。
本記事では、キャリアプランの意味や作成手順をとおして、その理由にお答えしています。
本記事を読むと
- なぜキャリアプランが必要なのかがわかる
- キャリアプランの作成方法がわかる
- 潜在的な「やりたいこと」を見つけられる
- 「できること」ベースで将来像が描ける
キャリアプランの作成過程で見えてくるのはこの先の「働き方」だけでなく、あなたの「ライフスタイル」そのものです。
キャリアプランに決められた形がないのも、それが理由。
正解がないものだからこそ「あなただけ」のキャリアプランをつくる必要があるのです。
- やりたいことが見つからない
- キャリアプランがつくれない
とお悩みの方は、ぜひ最後までご覧ください。
キャリアプランとは
キャリアプランとは、理想を実現するために立てる行動計画のことです。
この「理想」は、仕事に関すること以外でも良し。
- 将来は家族との時間を充実させたい
- 時間、場所にとらわれない自由な働き方がいい
など、ライフスタイルと絡めることで、仕事をふくめた暮らし全般の理想をめざした計画を立てられるからです。
似たことばとして使われる「キャリアパス」「キャリアビジョン」。
以下で、そのちがいについても見てみましょう。
キャリアパス
キャリアパスとは、ひとつの企業や組織内で特定の役職や職種に就くまでのステップ、また、その過程に必要な経験やスキルを表したことばです。
つまり、
- キャリアプランは「人生」の行動計画
:転職、独立など - キャリアパスは「ひとつの企業、組織内」での行動ステップ
:昇進、人事異動など
「広義」か「狭義」でのちがいと、覚えておくといいでしょう。
販売員だと、どんなキャリアパスが考えられるの?
たとえば、アパレル販売員のキャリアパスには以下のような例があげられます。
【キャリアパス例】アパレル販売員
私が勤めていた会社では、ショップ店長を経てデザイナーになったスタッフもいましたよ。
現職でのキャリアパスを理解することは、キャリアプランの方向性を決めるにあたって必要な情報のひとつです。
- どのようなキャリアパスが提示されているのか(会社目線)
- どのようなキャリアパスを歩めるのか(個人目線)
今勤めている職場でのキャリアパスを、整理してみましょう。
⇒アパレル販売員のキャリアパスについてはこちら
キャリアビジョン
キャリアビジョンとは「将来こうなりたい」という自分の理想像です。
つまり、キャリアプランをとおして到達したい最終的な「目的地」のこと。
キャリアビジョンに正解はありません。
だれかに決めてもらえるものでもありません。
あくまでも「理想」。
かなう場合もあれば、かなわない場合だってあります。
でも、かなうとしたら
どんなキャリアビジョンを描きますか?
先にお伝えしたように、理想は「仕事」に限定したことでなくてもいいのです。
キャリアビジョンによっては、今の生活や働き方を見直す必要があるかもしれません。
キャリアプランはなぜ必要?
理由とメリット
労働人口の減少とAIの発達、予期せぬ経済不況を受け日本のビジネス環境は大きくかわりました。
安定した企業・職業
という概念も、もはや崩壊しつつあります。
企業や組織が、自分を守ってくれる保証はどこにもないのです。
ひとつの企業にたよって働くことにリスクが生じてきている現在、自身のキャリアは自身で責任をとらなくてはいけません。
今まではちがったの?
今までは「終身雇用」や「年功序列制」などの企業側の制度が、働く人を支えてくれていました。キャリアを充実させるには、安定した企業に勤めれば間違いない!という考えが一般的だったのです。
↑これは「ひとつの企業」で働くことが前提の概念です。
自分は「ここで一生働くんだ!」と思っていても、企業側がそれを保証できなくなってきているのが現状。
私も2021年に、驚くほど突然「失業」しました。
つまり、キャリアの構築は企業任せではなく、個人で取り組まなければならなくなったということ!
そこで今、注目されはじめているのが
「 個人の実力 」
フリーランスや副業など、企業から離れた働き方が広まっているのも「個人の実力」で勝負する人たちが増えている証拠といえるでしょう。
そんな実力、私にはないよ~
大丈夫!
だれもが、はじめから実力をもっているわけではありません。
実力(=スキル)は計画的に取り組むことで、だれでも身につけることができます。
スキルを計画的に身につけるには?
↓
計画的な行動プランが必要
↓
キャリアプランを立てよう!
先にも述べたように、キャリアプランとは理想を実現するために立てる行動計画のこと。
ほしいスキル、ひいては将来の理想を実現するために「キャリアプラン」が必要となってくるのです。
「理想の実現」と聞くととおい未来を想像しがちですが、キャリアプランを立てると以下のメリットが♪
キャリアプランを立てるメリット
- やるべきことが明確になる
- 仕事へのモチベーションが上がる
- キャリア選択での判断基準となる
今の「働き方」に影響するってことか!
そのとおり。それだけでなく、働き方がかわると「暮らし」そのものがかわる可能性だってあります。
「息抜きで一泊旅行とかしたいな~」
「自分につかえる時間がもっとあればな~」
このように思ったことありませんか?
あ、それ私のことだね。
気持ちと時間に余裕をもつには、ムダのない働き方を見つけることが重要です。
やるべきことの明確化、モチベーションUP・・・
以下で、キャリアプランを立てるメリットについて詳しく見てみましょう。
やるべきことが明確になる
「このままでいいのだろうか」「毎日の同じ作業に飽きた」と不安や飽きを抱いている方は、先を見据えた目標を見失っている可能性があります。
毎日「日割り達成」にむけて頑張ってるけど、シーズンごとのサイクルが同じで正直飽きてる。
その日の目標やノルマが、あらかじめ提示されている職場は多いことでしょう。
その点に飽きを感じている方は「やらされている」意識があるからではないでしょうか?
たしかに…達成したいより達成しなきゃって気持ちの方が強いかも!
日、週、月の目標達成にむけた取り組みは、その組織への貢献として非常に大切な取り組みです。
でも、せっかく毎日「がんばっている」んだから
あなた自身の成長につながると、もっと嬉しいですよね♪
キャリアプランの作成は、めざす将来像(=キャリアビジョン)を基準に30年後、10年後、5年後、1年後と逆算しながらやるべきことを洗い出していきます。
30年後にむけて20年後では〇〇を達成
20年後にむけて10年後では〇〇を達成
10年後にむけて5年後では〇〇を達成
という具合に。
その過程で「やるべきこと」を徐々に明確化、明日からにでも着手できる段階まで落とし込みます。
明日からにでも…「すぐ行動にうつせる」ってことか!
今やるべきこと
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将来像の実現にむけた小さな目標
自主的に「やるべきこと」を見つけられるコツがわかれば
- 「このままでいいのだろうか」
- 「毎日の同じ作業に飽きた」
という悩みからも解放されますよ。
仕事へのモチベーションが上がる
仕事へのモチベーションが下がる原因には、以下の理由が考えられます。
- 目指す目標がない
- 自身の成長を感じられない
たとえば、マラソン。
ゴールがわからない、だから今どこまで進んだかもわからない。
それじゃあ、疲れるばかりかやる気も起きない。
目標の明確化と現状のレベルの把握は、モチベーションをたもつ上で大切な要素です。
キャリアプランの作成は、そのどちらをも可視化できる作業。
自身のレベルアップがキャリアビジョンへつながっていると実感できれば、仕事へのモチベーションも上がり積極的に取り組むことができるでしょう。
キャリア選択での判断基準となる
本章のはじめでもお伝えしたように、ひとつの企業で働くことが少なくなってきた現在、転職やキャリア選択の機会に触れるシーンも増えてきました。
女性の場合は上記にくわえ、結婚や出産などのライフステージの変化によっても自身のキャリアに直面するシーンが出てくるでしょう。
うんうん…共働きするにしても、今と同じ職場で同じ労働環境をつづけられるかもわからないよね。
そのとおり。だれにでも、転職やキャリア選択を迫られる機会があるっていうこと。
キャリアプランを立てるということは、変化する環境を先読みして「今できること」を洗い出す作業でもあります。
逆に「今できること」が増えれば、キャリア選択の幅を広げられ今後の活動に有利にはたらくでしょう。
キャリア選択にまよったら?
自分が立てたキャリアプランに立ち戻る
キャリアビジョンを実現するために、その選択が必要なのか不要なのかの「判断基準」となります。
作成手順
ここからは実際に、キャリアプランの立て方について説明します。
よし!じゃあ、私の描く将来像は~
ちょっと待って!
将来像=最終的な目的地。
目指す将来像によっては、キャリアプランの内容が大きく変わることも。
そうならないために
- 潜在的に抱いている「 価値観 」を理解する
- 客観的視点でキャリアプランを作成する
この2点を意識しましょう。
手順は、以下3ステップです。
- 自己分析をおこなう
- キャリアビジョンを描く
- アクションプランを立てる
順に説明します。
①自己分析をおこなう
キャリアプランを立てる上で、まずおこなってほしいことがこちら↓
自分を知る
自分を知ることで見えてくるのは、あなたが気づいていない「できること」。
「やりたいこと」や「やらなければならないこと」って、日頃から考える機会が多くあるんです。
「アレやりたいな~!コレやらなきゃ!」とか、よく考えてるし言ってるかも。
でも、自分に「できること」って意外と把握できていない人が多いんですよ?
「できること」がわかると、将来の選択肢もより広がります。
自己分析をとおして、あなたがまだ気づけていない「できること」を見つけましょう。
自己分析の方法はとってもカンタン!
これまでの経歴を棚卸ししながら
- やりがいを感じていること
- 持っているスキル、得意なこと
- 大切にしたい価値観
などを洗い出します。
自分自身へのアンケート調査だと思って、以下の質問の答えをまとめましょう。
- これまで経験した業務内容
- その過程で意識した行動、考え方
- 実績、成果→要因は?
- 失敗、停滞→原因は?
- 自覚している強み、弱み
- 周りによく褒められること
- やりがいを感じる瞬間
- モチベーションが下がる瞬間
- 苦戦した業務
- その時不足していたスキル、経験は?
- 仕事において嫌なこと、避けたいこと
- この先予想されるライフスタイルの変化
- 将来大切にしたいこと、不安なこと
- 働き方の優先順位
(給与、社風、労働環境、ワークライフバランスなど)
これ以外にも思いつくことがあれば足してください。
逆に、このリストすべてを埋める必要もありません。
私は紙に思いつくままに書き出しました!意外と思いつかないので数日かかりましたが…自分を知るいいキッカケになりましたよ♪
②キャリアビジョンを描く
自己分析をとおして、あなたが大切にしている価値観が見えてきたのではないでしょうか。
その結果をもとに、キャリアビジョン=最終目標を決めましょう。
思いつきの「〇〇したい」は、その時々で内容がブレがち。
ブレない目標を決めるためにも、前項では潜在的に思っている「価値観」を見つけてもらいました。
キャリアビジョンを描く際のポイント
- 具体的であるほどキャリアプランを立てやすい
- 仕事面だけでなくライフスタイルと合わせて考える
- キャリアビジョンの選択幅は現キャリアの延長線上であるとは限らない
上記ポイントを考慮しながら、あなたが将来「ありたい姿」をイメージしてください。
理想はキャリアのゴール地点、30年先くらいをイメージしておきたいところ。
そんな先の未来、今の時点では決められないよ~
私もそうでした。
なので、10年先、5年先とちょっとした未来をイメージしましょう。(可能であれば30年先まで!)
近い未来だと、具体化しやすくなりますよね。
キャリアビジョンの形に決まりはありません。
「こんな職種(業種)で働いていたい」と明確に決まっている場合もあれば「あんな働き方に憧れる」など、漠然としている場合もあります。
いずれにしても、自己分析の結果をもとに導き出しましょう。
なにを・どこで・どのように
どうしていたいのか
繰り返しになりますが
- やりがいを感じていること
- 持っているスキル、得意なこと
- 大切にしたい価値観
がキャリアビジョン作成のヒントになります。
キャリアビジョンが決まれば、いよいよ最終ステップ!
わ~!いよいよ私のキャリアプランが決まるのか~!
③アクションプランを立てる
キャリアプラン作成、最後のステップです。
これまでのステップで
- 自己分析→今の自分を把握
- キャリアビジョン→目指すべき自分を設定
が終わりました。
残るは、キャリアビジョンに至るまでの道筋を具体化するだけです。
キャリアプランにおいて、最終目標であるキャリアビジョンを長期目標といいます。
そこから段階的に近い未来を想定した中期目標・短期目標を決めましょう。
長期目標は「将来的にどうなりたいか?」という漠然としたイメージでも大丈夫でした。
が、中期目標→短期目標と視点をズラすにつれ「すぐ行動にうつせる」ほど、内容を具体化させます。
長期目標→中期目標→短期目標の順で決めること。
完成度はどこまで高めればいいの?
細かければ細かいほど良しですが、この時点では作りこまなくても大丈夫です。
ざっくりでOK!
次の段階で詰めていきますので。
ちなみに私の初期プランは、以下のようにとてつもなくざっくりしていました。
ご参考までに。
私の経験談
私が初期に設定していた長期目標(キャリアビジョン)は「在宅でも働ける職業に就いていること」という、なんとも漠然としたものでした。それを実現するには、Webスキルが必須。知識も経験も0でしたが、短期目標として「Webライティングスキル」の習得をえらびました。
Webスキルの中でも「Webライティングスキル」をえらんだのは、自己分析の結果から自分と相性がいいと思えたからです。
自己分析は新たなジャンル開拓のヒントにもなるので、ステップ1でしっかりおこなってくださいね。
はい!長期、中期、短期のざっくり目標が決まりました!
ここからは、少し細かい作業に。
「いつまでに、なにを」達成しないといけないのか。
アクションプランの設定です。
各目標の期限を決め、さらに具体化します。
各目標の期限の目安
- 短期目標:1~5年後
- 中期目標:5~10年後
- 長期目標:10年後~
さいごに、各目標の具体化をおこないます。
各目標を達成するのに足りないものは何ですか?
スキル?知識?経験?
それらを身につけるための手段を、複数あげてみてください。
その中から、自分と相性がいいものを現時点のプランに組み込んでいきましょう。
【例】短期目標の期限を5年後とした場合
(内容を開く)
短期目標の達成に必要な
スキル・経験を洗い出す
↓
達成手段を複数あげる
↓
相性のいい、または興味のあるもの
を決める
↓
5年以内で期限を設定する
先ほど「長期・中期・短期目標の完成度はざっくりでOK」とお伝えしたのは、ここで具体化をおこなうからです。
とくに短期目標に関しては、より細かく設定できるといいでしょう。
目先の目標が明確になると「今なにをするべきか」がわかり、行動に移しやすくなるためです。
アクションプランの設定は、たくさんの選択肢があるほど自分と相性のいい方法を見つけやすくなります。そのために、日頃からネットやSNS、各種媒体をとおして情報収集をおこなう癖をつけましょう。
各目標の具体化が終われば、あなたのキャリアプランは完成です!
お疲れ様でした!
キャリアプラン作成後
キャリアプランは「作成しておわり」ではありません。
現段階では、将来像を実現するための「仮」のプラン。
実際に行動に移しながら、そして軌道修正しながら、その精度を高めていく必要があります。
そのためにできる工夫は以下2つ。
- 日々スキルアップに励むこと
- ブラッシュアップをつづけること
スキルアップに励む
自身が設定したキャリアプランを計画的にこなすには、少なくとも今以上のスキルを身につけていく必要があります。
キャリアプラン作成の最終工程「アクションプラン」の設定をおこなうと、自身に足りないスキル・経験が明確になったのではないでしょうか。
まずは、それらが現職で習得可能かどうか。
習得ができない場合、転職するのかその他の方法を探すのかを選ばなければなりません。
日々のスキルアップが
一年後の自分を助ける
あなたに合ったスキルアップ方法をみつけて、一日でも早く行動に移しましょう。
スキルアップ方法について詳しく知りたい方は、以下の記事をご参考ください。
⇒キャリアアップとは?転職のためだけじゃない「なりたい自分」をめざす方法
ブラッシュアップする
先述したように、一度つくったキャリアプランはあくまでも「仮」のプラン。
できることや経験値が増えれば、プラン内容と現状との間にギャップが生まれてくるものです。
そのギャップを放置したままでは「脱線」をしつづけるようなもの。
将来像にたどり着くまで、遠回りしていることと同じです。
スキルの向上や経験値の増加によって、あなたを取り巻く環境やあなた自身がもつ情報量も増えているはず。
一度目のキャリアプラン作成時には思いつかなかったアイデアが出てきてもおかしくありません。
自身の成長や周囲の環境にあわせ、新たな視点、アイデアをもってキャリアプランの精度を上げていきましょう。
まとめ:自分のキャリアは自分で責任をとる時代
本記事では、キャリアプランの意味や作成手順について解説しました。
作成手順は3ステップ!
- 自己分析をおこなう
- キャリアビジョンを描く
- アクションプランを立てる
企業や組織に自身のキャリアを任せるのは、リスクを伴う時代。
自分のキャリアは自分で責任をとらなくてはなりません。
キャリアプランの作成は「個人の実力」を育てるための道しるべ!
できることが増えれば、キャリア選択の幅も広がります。
「あの時こうしておけば…」という後悔のないよう、キャリアプランを作成して『できること』を計画的に身につけていきましょう。